ホーチミン市は道路や歩道を一時的に使用する事業者から料金を徴収することを検討しているが、この動きが公共空間への侵入を合法化するのではないかと懸念する声が上がっている。
13日に同市ベトナム祖国戦線委員会の会議で道路・歩道における一時使用料の徴収案に関する議論が行われ、同市交通局が一時使用料として1㎡あたり5万~35万ドン(約300〜2100円)の徴収を検討していることが明らかになった。
ビジネス目的で借りる場合には1㎡あたり2万〜10万ドン(約120〜600円)で割引料金が適用される。
道路・歩道の一時使用料の徴収額は年間1兆522億ドン(約63億2100万円)になる見込みで、徴収した一時使用料は道路整備に向けた国家予算への投入が予定されている。
同市弁護士会のチュオン・ティ・ホア弁護士によると、同提案は交通部門が都市インフラを維持・向上させるための資金を得ることに貢献する。現在、道路整備に使用される国家予算の資金は実需要の40%程度しか満たしていない。
各地区人民委員会が管理するいくつかの道路は損傷が激しい状態であるが、資金不足によって修復することができておらず、安全上のリスクがある状態となっている。
同市1区ベンゲ街区のベトナム祖国戦線委員会のホアン・ティ・ロイ副委員長は料金徴収の提案に同意するとともに一時使用料が低いと指摘した。
現状の料金設定では60㎡のスペースを借りても1カ月で123万ドン(約7400円)にしかならない。同市のバイク駐車料金は数時間で少なくとも5000ドン(約30円)、時には2万ドン(約120円)が必要になるが、比較しても一時使用料は非常に安価である。
ビンタイン区17街区のベトナム祖国戦線委員会のグエン・ティ・ミン・サウ職員によると、同提案に関するアンケートで回答者の80%が「まだ導入すべきではない」と回答している。
道路・歩道の料金徴収制度による利用許可の承認は、人々が公共スペースでビジネスを行うことを促進し、道路や歩道への侵入を合法化することになり、交通需要に影響を与えてしまう。
調査によると、市街地のグエンビンキエム(Nguyen Binh Khiem)通りでは92%の企業が歩道にバイクを駐車し、歩行者が歩道を利用できない状態である。
料金徴収制度がなくとも既にこの様な状態であるため、制度が承認されれば更に酷い状況になることが予想される。